あまり 目立たないような映画なのに、珍しくロングランだ。
森田芳光監督。時代背景とその中で生きる家族を面白く表現していた、さすがだ。
幕末維新前の激動の中、ひたすら「加賀藩御算用者」として、忠義をつくす家族の3代に渡る話だ。
そろばん侍と言われ、刀は、ただ腰に差しているだけと、侍と認めてもらいにくく、少し差別された、
扱いになっていたのもはじめて知る。今の経理室みたいなものかな?
また時代の移り変わりを楽しく感じさせてくれた映画だった。
しかし、仲間由紀恵は、どうしても好きになれない女優だ。この人が出ていると、他がよくても内容に
惹かれても観にいかないのに、今回は例外で観てしまった。何を喋っても、あの鼻声で感情の起伏は
いっさい伝わって来ない。どれも一緒だ。役者で致命的だと、思うのだがよく起用されていると思う。
アイドルだった中村雅俊も、良い味を出していた。おじいさん役で、松坂慶子との夫婦はお似合いで、
二人のダメな贅沢ぐせとかが、笑えてくる。それが一家を悲惨な事にしていくのだが、悲壮感が無く良い。
御算用者の部屋で、硯を慎重にすり、その墨を150人もの、上司に丁寧にくばる、境雅人の物腰は
この人らしい、この人ならではの物腰と思えた。おおきなそろばんをはじく音はなんともいえない
静かなシーンなのに、圧倒される。一番飽きないシーンだった。美しくもあった。