『耳に残るは君の歌声』などで知られるサリー・ポッター監督による青春ドラマ。冷戦下の1960年代ロンドンを舞台に、思春期の少女が激変する社会の中で成長していく姿を描く。いつも一緒に行動していたが成長するにつれ互いの関係に変化が生じていく幼なじみ同士を、『SUPER
8/スーパーエイト』のエル・ファニングと、ジェーン・カンピオン監督の娘アリス・イングラートが好演。共演には『ココ・アヴァン・シャネル』のアレッサンドロ・ニヴォラら実力派がそろう。
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この主人公達が過ごした時代・正に私が生きて来た時代だ。
1945・広島に原爆が落とされる。冒頭はそこから始まる。
その年に生まれた二人。そして果敢な青春時代を迎える。
その青春時代も、流れる音楽も世界では共通だったのだと、新たに認識させられた。
反核運動のデモがあちこちで起こり、キュウバ危機があり、革命家らしき男たちが、現れ、
女性たちに羨望される。日本でも同じ事が起こっていたのを思い出させてくれた。
今の若い人たちがこの映画を観る感覚とその時代の真っ只中に生きた私などとは、
見方もかなりの違いが出てくるだろうと思う映画だ。
今、日本では、この時代以上に、発言や行動、表現の自由が奪われていきそうな危機感がある。
映画では甘い青春の出来事のように、流れていくような所もあるが、こうした表現やデモすらも、
制限されて行く日本になりつつある法案が強行採決されてしまった。
この時代に悩み行動した若者と、今の若者が生きていくこれからの時代も考えさせられた。
しかし、懐かしい音楽がジュークボックスから流れる中、
核の恐怖や、世界の終わりのような危機感があっても、男の勝手な理屈に翻弄させられる女たち、
時代が幾ら変っても変らないものだと、そこだけはなんだか笑えて来てしまった。