この名曲を聴くと、最近では、本田美奈子を思い出してしまうし、あの澄みきった歌声が甦って来る。
映画はこの曲が生まれた話で、実際にあった物語だった。
18世紀のイギリス。当時、奴隷貿易が当たり前の現実として存在し、貴族階級はそのことによって、
私服をこやしていた。主人公の20歳前半の若き政治置家ウイリアム・ウィルバーフォースが親友と、
仲間と長年に渡り、奴隷貿易を廃止させていく話だ。その中で牧師が出てくる。これがこの曲を作詞した
ジョン・ニュートンだ。この曲をささえとして、闘っていく。牧師はもとは船長で何度も奴隷を運んでいたのだ。
2万人もの奴隷が航海中になくなっていったのを見て来ている。自分の犯してきた罪の重さに苦しみながら、
一緒に闘うのに参加する。苦しみの中で生まれた賛美歌が「アメイジング・グレイス」だ。
グレイスとは神の恵み、あるいは加護だそうだ。
すばらしき神の悲しみよ
こんな悪人まで救ってくださった
かって道を外れていた私を
神が見つけてくださった
みえなかった目も 今は開かれた
奴隷解放と聞くと普通はアメリカのそれを思う。リンカーンによってと1862年9月。あの有名な演説。
人民の、人民による、人民のための政治。
それより半世紀前にイギリスで「奴隷貿易廃止法」がなされていた。この映画はその200周年を記念して2007年に
創られた。ドキメンタリー出身の監督だから、議会の場面などに力をいれていたが、奴隷の悲惨な場面は一度もなく
船にぶらさがっている、鉄のくさりだけだったのが、なお、映画の真髄をついていたように、思う。
男性が歌う「アメジング・グレイス」も良い、こころに深くしみいった。