今回の、ののが綴る徒然日記テーマ

幼き頃・・43・・・好きでなかった兄(2)

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「わあ~~わあ~~えらいこっちゃ~~!おい!お前らバケツもってこい!火事になる!はよこい!」と。

兄が顔を真っ青にして、口を大きくバクバクと、開けて叫んでくる、本当に必死な様子で走ってきた。

私と姉は、縁側に足を投げ出し、のんびりとひなたぼっこをして遊んでいたと思う。

何事や!これはただ事ではないと、駆け出した姉の後ろをバケツを持って畑のある方に走って行った。

少し高台になっている畑に行くと、その先の土手から煙があがっている。火も見える。本当に火事だ!。

畑の側に水を溜めているところがあり、兄も姉も、そこから水を運んで、火のある方に何度もかけていた。

私が、そのことを手伝うには、余りにも幼すぎた。ボウ~っとして、見ていることしか出来なかった。

兄はわぁ~~わぁ~~と叫びながら、水をかけていたが、火の勢いは止まらなかった。

いつの間にか、姉が、指揮官のように、兄に命令をしていた。<兄の方が姉より2歳上>

命令により、畑の土をかけていたり、服を脱いで、土手の火を叩いていたり、いろんなことをしていた。

私は、もう怖くて怖くて、やはりボ~っとしているしかなかった。

そのうち、声がして、下の畑のほうから大人たちが、大勢来て、手伝ってくれていた。

兄はわあ~わあ~~と、もう泣きながら、身体もどろどろになり火と闘っていた。

近所の人は、段取りが良くみんなで、あっという間に火を消してくれた。

土手の側に松の木が1本あったが、火はそこを、登るようにして上がっていき、上の方の半分を燃やした。

あの火が登る光景は、不思議な物として残った。まるで生きているなにか?みたいだった。

この家を引越しするまで、半分黒くなったままの松の木を見るたびに、木に火が登るのをを思い出していた。

そのうち、誰かからの連絡を受けた父が、帰ってきて兄を連れて近所に誤りに回っていた。

ぼろぼろになった兄は、捨てられた犬が、とぼとぼ、知らない人の後ろを着いて行く犬のようだった。

父の後ろだったのに・・・・。裸で木にくくりつけられるかと思っていたがそれどころではなかった。

高槻では、うちはちょっとした有名人で、羽振りが良く派手で、何かにつけて田舎の人々には、噂の的だった。

ひなまつりも、近所の子供や大人を呼んで、父の自慢の雛人形をお披露目し、ご馳走をする。

料理は父が作る。母は綺麗な着物を着てにこにこ笑っているだけだった。

クリスマスは大きなモミの木を、大勢の男の人たちと、家の中に運び入れ、いっぱいの飾りをつけて、近所を呼ぶ。

母は綺麗な服を着て、笑ってダンスをしていた。

そんな家が、だんだんと羽振りが悪くなり、八百屋もツケで野菜や他の物も運んで貰い、支払いもままならず、

長い間の得意先というので、許してもらっていた。そこの奥さんがうちでお手伝いをしていたという関わりもあり、

結婚も世話をし、家からお嫁さんにだしたからだった。そんな家の人間が、山火事を起こしていたかもしれないのだ。

高槻中の噂の的になったのは間違いがない。それも、落ち目になりかけていたから、余計に面白かったに違いない。

その頃の私はそれを、感じるには幼なすぎた。黒い松ノ木、木を登る火、わぁ~わ~と叫ぶ兄だけが残った。

今 NHKで朝の蓮ドラをやっているが、あの戦後の頃が全く同じなのだ。高槻が、あんな風な田舎だった頃の話だ。

明日、好きでなかった兄の墓参りに、姉と行く。  肝心な事、何故?火で遊んでいたのか?聞いていなかった。

聞いてみようか?

姉と、この話をお茶を飲みながらする事だろう。  笑い話として。


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