やはり私の感は大当たり!このところ、嫌な予感が胸を締め付けていた。
Aさんのお腹は日に日に大きくなり、実家に帰る事が多くなった。
全てに力強い姉は、学校から父が呼び出され、あっけなく家に連れ戻された。
何でも下宿に、男子も女子も集まりだし、溜まり場のようになり、近所の人から
学校への通報で厳重注意をされたようだ。
多分父も姉には説教などしないで、二人で笑っていた様に思う。
しかしそんな事ではめげる姉ではない、登山部に入りロッククライミングの部で、
大阪代表の3人の女子に選ばれていた。<大阪おてんば娘>みたいや!
力強い頼もしい姉だった。
大きなリュックを、背負って家の階段を登ったり下りたりしていた。
その時も「この階段、便利やわ!私の為に改装されたみたいや!ハハハ・・・・」
父たちの部屋を通らないように改装された階段、上ると3分の1畳ほどの、
踊り場、又直ぐに下りられるようになっていたからだ。
一番の困りごとは、兄が帰って来た事だった。兄はうすうすは知っていたと思うが、
父の再婚を知り、若い嫁さんの存在を知る。
とうとうご対面!赤ちゃんを抱いたAさんと・・<私の弟誕生!>。
Aさんとの、2度目の正月を迎えていた。兄が父と、揉め出すのは、目に見えていた。
千葉の会社は倒産!苦労して来た兄の怒りは、頂点に達してしまった!!
自分が毎日、毎日、麦飯と漬物と汁物で我慢していた時、おやじは若い嫁を貰い
毛皮のコートを買ってやり、鼻の下を伸ばしニヤニヤし、おまけに子供までも・・。
お酒を飲んだある日、父と兄は話し合いをしていたが、兄はとうとう大暴れ!
家の中のものは壊れ、Aさんは赤ちゃんをしっかり抱いて、泣いて震えていた。
私も何とか踏ん張っていたが、頭までが壊れそうで、何も考えられなかった。
兄の力は、おやじなどを倒すには、もう簡単だった、すっかり大きく頑丈な若者だ。
警察までも呼ばなければいけないと思った時、姉が兄の前に立ちはだかった。
「やるんやったら私をやったら!あほか!やめとき!」この力強い一言で、
兄は大人しくなり、上がって行った。まるで<ヤクザ映画>の姉さんのようだった。
次の日、冬山登山があったが、一睡も出来なかった私は途中で、倒れてしまった。
学校から帰るとおやじ達と荷物がなくなっていた。母が出た時と同じだった。
その後、父が死ぬまで、二度と一緒に暮らすことはなかった。少女M・中2の終わり。