終戦直後の横浜・鶴見川のほとりの湿地帯に建ち並ぶバラック作りの部落を、新藤兼人が実際に取材し映画化した作品。
河童沼のルンペン部落に住む失業中の頭の弱い女、競輪狂の男、労働争議そっちのけの工員、
新興宗教にすがる老婆、元新劇の名優だったと自称する男たちの人間模様を描く。
「どん底」を思わせる美しい映画。
キャスト・スタッフ
キャスト: | 乙羽信子、宇野重吉、殿山泰司、山村聰、菅井一郎、藤原釜足、神田隆、加藤嘉 |
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製作: | 吉村公三郎 |
監督・脚本: | 新藤兼人 |
脚本: | 棚田吾郎 |
撮影: | 伊藤武夫 |
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先日、新藤兼人監督のインタビューを観てから、機会があれば新藤監督映画を観ようと思った。
時代が戦後すぐの皆貧しかった頃の話、酷い話なのに、人間のどうしょうもない所を上手く描いている。
なんとも悲しいが、今ほど人間の気持ちが複雑でないから救われる。どうしょうもない状態の時代だったのだ。
己羽信子が美しかった。この映画に出演している味のある俳優は、今、いない気がする。
上手い人はいっぱいいるが、中から出て来る人間臭さがない。この時代の俳優は上手いというのでなく人間味が、
溢れている。テレビで変ったのかもしれない。<今は演技をしている>が、見えてしまう。監督の力なんだろうか?
まだまだ、新藤作品を観たい気になった。