捨てられない「暮らしの手帖」・・1

暮らしの手帳2
1968年 夏 「暮らしの手帖」
どうしても捨てられずにいた。
その後、長女も生まれ私も親になった。
今、一度、目に触れて欲しい時代が来るとは、思わなかった。
若い人たちに、見て欲しいとの・・想いで・・。
初めより順に・・。
<1>
戦場海の向こう2海の向こう

<戦場>は
いつも 海の向こうにあった
海の向こうのずっととおい
手のとどかないところに あった
学校で習った地図を
ひろげてみても
心のなかの<戦場>はいつでも
それよりもっととおくの
海の向こうにあった

ここは
<戦場>ではなかった
ここでは みんな
<じぶんでの家>で 暮らしたいた
すこしの豆粕と大豆とどんぐりの粉を食べ
埃だらけのモンペを着て
夜が明けると
血眼になって働きまわり
日が暮れるとそのまま 眠った
ここは<戦場>では なかった

海の向こうの
心のなかの<戦場>では
泥水と 疲労と 炎天と 飢餓と 死と
そのなかを
砲弾が 銃弾が 爆弾が
つんざき 唸り 炸裂していた

<戦場>と こことの間に
海があった
兵隊たちは
死ななければ その<海>をこえて
ここへは帰ってこられなかった

いま
その<海>をひきさいて
数百数千の爆撃機が
ここの上空に
殺到している

にほんブログ村 その他日記ブログ つれづれへ *ポチ戴くと励みになります

 




  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA