母の写真を2回程公開しているが母の事を皆が美しいと言ってくれる。
娘の私が言うのも変だがやはり美しいと思う。娘時代には映画会社からも誘われたと聞いた。
母の妹(叔母)も美しいと思うのだがその叔母が、「あんたらのお母さんは綺麗だったから
生き方が間違ったんや。家ではお嬢さんだったから何もさせなかったし、あんたらのお父さんも
お嬢さんを貰ったから奥座敷に座らせて何もさせない、苦労させないと言って結婚したからな。
いざ 大変なことになったら何も出来ないから、綺麗だけが売り物で水商売に入ってしまい
世間知らずで始めてのことばかりやから、生き方が狂っていったんやわ。」と話してくれた。
家を出た母がその後どんな風に生きたか、再会した時、中学生の私は分からなかった。
しかし、小さい時の母とは違っていたのは確かだった。
それでも母は、顔だちだけは変わらなかった。日本人で一番良い輪郭とされている卵型だ。
私は父似の輪郭で四角い顔だ。昔、下駄とか将棋ばんとか言われ、一時期預けられた所の
意地悪な従妹には<南京に爪形>と言って笑われていた。とても傷ついた。<南京に爪形!>
腹が立つがなかなかの表現だと感心してしまう、南京に親指の爪で押して見ると細い目の顔が
出来る。(ふ~ん こんなんが私か・・・南京に爪形) かぼちゃを食べるたびに思い出す、あの従妹!。
(なんで母に似なかったんや!なんで四角い顔に産んだんや!なんで父と結婚したんや!)と
叫んでしまいたいくらい四角い顔が嫌だった。輪郭が母似の卵型だったら、もうすこし美しいとか
言われて来たものを、と思ったものだ。何故か姉も兄も皆、四角い顔で、誰一人母似でなかった。
でも店をした頃には自分の顔にも愛着を持って生きていたから<エラいち族>なるものを結成し、
四角い顔の人だけを集めて楽しんでいた。会に入りたくてもエラが張ってないと入れない厳しい掟を
作り、欠点を利点にし他の人が羨む遊びに転じて行った。その中には歌手のM嬢もいて、小さい頃、
彼女もエラが嫌でお風呂でフヤケタ所をタイルでゴンゴンと当て引っ込むと思い、無駄な努力をしていたが
それが原因で逆にりっぱなエラが出来たと告白をしてくれた。 悲しい<エラいち族>のエピソードだ。
写真は、絵に描いたような母と母の兄妹だ。
叔父の大学と叔母の美容学校の費用を父が出したように聞いていた。
<四角い顔>の父だったが凄かったのかも。
8月16日送り火の日の朝、母は旅立った。オペラ歌手になりたかった人は一番美しく
輝ける日を選んで逝った。
左が母、母の兄と妹。母と私の長女が似ている。恐るべしDNA。