先日観た映画での、原田さんは生き生きとしていた。
映画の撮影がはじまった、去年11月頃にはかなり、しんどい状態だったようだ。
病気と闘いながら2週間で、撮り終えた映画、凝縮されていて本当に勢いがあった。
うつくしい日本の村の風景と言う事もあり、今起こっている東北の事も重なった。
映画の中では普通の人たちの当たり前のいとなみがある。
原田芳雄が演じる 善が、新幹線の誘致をめぐって役場の話し合いで言う。
「田んぼ 耕して、野菜つくって、鹿撃ってで、歌舞伎やってきたんだ なにもないっていったって、
この村には歌舞伎があるんだよ」と。
福島の村々にも、いっぱい 守ってきたものがあったろうと思う。今問題になっている牛だって
肥料だって、すべてが、守ってきたものなんだ。そんな想いもありながら撮影されたようにも思えた。
しかし、皮肉なというのか、原田芳雄演じる 歌舞伎の中での、是清の台詞を言ってみたかったと。
自らの両目を抉りとり 「仇も恨みも是まで是まで」という、あの台詞を言ってみたかった。と。
日数が少ない中、歌舞伎愛好会の方々がほんとうによくしてくださった。
経った2日ですが、やはり長い時間かけて培われた「型」の凄さを痛感します。
ちょっとした所作でも、ピッシと決まった瞬間とんでもない快感がある。
歌舞伎のシーンを撮った2日間は、夢をみているようなすばらしい時間でした。」と、パフレットの中で
語っている。 すばらしい作品を、仲間と撮られ残されたと思う。
耳に残る「仇も恨みも是まで是まで」。