<大鹿村騒動記>・せつない、滑稽な大人の映画。

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(C) 2011「大鹿村騒動記」製作委員会
長野県の山村に300年以上も伝わる「大鹿歌舞伎」をモチーフに
、『亡国のイージス』『顔』の阪本順治監督と原田芳雄がタッグを組んだ群 像喜劇。
伝統の村歌舞伎が受け継がれてきた山村で食堂を営む男のもとに、
18年前に駆け落ちした妻と友人が現れたことから始まる騒動を軽妙なタッチで描く。
共演には大楠道代、岸部一徳、松たか子、佐藤浩市、三國連太郎ら実力派がそろい、悲喜こもごもの人間模様を彩る。
大鹿歌舞伎の舞台を再現したクライマックスは圧巻。
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本日7月21日、原田芳雄さんの通夜の日だ。朝から映画館に駆け込んだ。
この映画を観る年齢が明らかにはっきりとしている、シニアだ。
キャストが豪華だ、三国連太郎、佐藤浩市 石橋蓮司 瑛太 松たか子 大楠道代など。
原田さんを愛した仲間が集まった感じだ。
原田さんが2008年にこの「大鹿村歌舞伎」の事を知った時から
「自らの原点を確認するためにどうしてもやっておきたい」と切望した企画のようだ。
日本で最も美しいといわれる長野県の大鹿村。この地で300年以上も受け継がれていてきた
実在の村歌舞伎を背景に滑稽で、可愛い大人たちの人間味あふれる物語だ。
昔 この俳優たちが若い頃、もちろん、こちらも若かった頃が、映像とともに私の中で思い出されてきていた。
つい先日 フェリーニの映画を観ていたのもあるが、懐かしい同じ臭いを 感じていた。
あの時代、芝居は赤テント 黒テント 石橋蓮司率いる第7病棟、唐十郎、緑魔子など、アングラ全盛期だった。
映画も鈴木清順監督のツゴイネルワイゼンの、原田芳雄 大楠道代さんとか、難解な映画なのに、友達と論じあったり、
分かったようなふりや、しったかぶっていきがっていた時代だった。そんな中で衝撃的な俳優が原田芳雄だった。
この<村歌舞伎>がアングラなんだと私は感じた。だから、映画を観ていて、昔とダブってきていたのだと。
ここでは、ごく普通に生きていた人々、難しい事を論じていたり、理屈を言っていたりしている人たちでないのだ。
そんな中で作られ守られてきた歌舞伎に、原田さんは引かれ、原点を見つけられたのだと思う。
そんな村での出来事をとんでもない話で推し進めていく、脚本、阪本順治監督の見事さの映画だった。
大人の喜劇であり、せつなく、せつなくどうしょうもない大人たちの映画だ。
最後に忌野清志郎の「太陽の当たる場所」が、流れた。
風の中に 聞こえる    君の声が 聞こえる
よみがえるよ  遠いさすらい
さがし求める  太陽の当たる場所
そっと空jを  見上げる    遠く雲が ちぎれる
よみがえるよ  君のぬくもり
立ち止まれば  太陽の当たる場所
はるかな夢を追いかけた
見知らぬ夜をのりこえて
ああ 覚えてるかい  一度だけ
君が泣いたこと  この胸で
ああ それは一度だけ
この運命に甘いキスを送ろう   この運命に甘いキスを送ろう
風の中に 聞こえる    君の声が  また 聞こえる
はるかな夢を追いかけた   見知らぬ夜を 乗り越えて
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テロップが 流れ  黒いスクリーンの中に チョーン チョーンと、木の打つ音。
俳優 原田芳雄さん、自ら、わかっていたかのように・・・・。

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