井上 ひさし 作
栗山 民也 演出
市川 亀治郎・ 永作博美
18日に「新国立劇場」へ芝居「雨」を観に行った。友人が関わっていたので、良い席を用意され、
「<冥土のに土産>に持って行ってと言いたい位、値打ちのある芝居だから是非に観て」と。
ロビーに入ると、紅花がいっぱいに飾られていて、その雰囲気だけでもわくわくさせられる。
なかに入ると舞台からも期待が広がる。大きな柱に上から突き刺さりそうな雨の美術、
それだけでも、圧倒されそうだった。独特な音楽のなか、雨の降る舞台に人々、舞台が動き出す。
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「物語は江戸両国、大橋のたもと。雨宿りに入った金物拾いの徳は、老いた浮浪者から「喜左衛門さまではー?」と
声をかけられる。どうやら羽前平畠藩の紅花問屋「紅屋」のご当主、喜左衛門と間違えられる。
莫大な財産と平畠一の器量良しの女将を残し、行方が分からなくなって居るらしいと聞く。
それを聞き、本物の当主になリ済まそうと江戸をあとにする。北へ向かうにつれ変わって行く言葉に
戸惑いながらも、喜左衛門として、一世一代の大勝負を打つ日々がはじまるが・・・・」
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一景だけが、標準語で後はほとんどが、山形弁で進んで行く。分からない言葉も多々あるのだが、
話が見のがせないように進んで行くので、細かい所などは、すっとんでしまう。
井上さんも書いておられるのだが一度、一景づつ全部標準語で書いてから、この地方の古老がぼつぼつと
語る昔話のテープを基に、こしらえられた自家用の方言事典とたたかって翻訳したものだそうだ。
主人公の徳はその方言に苦労するのだが、逆にその方言にのみこまれて、自分をも見失っていくのだ。
3時間半の芝居なのだが、亀治郎さんの演技や所作に魅せられ、永作さんの色っぽさや強さを感じる演技に喝采!
紅花いっぱいの舞台に村人が、大きく写し出される。今の状況と重なった、地方が中央に勝負に出たのだ。
東京公演だけなのが残念だ。 お陰さまで、良い冥土の土産が出来たわい。