大阪を拠点に活動するフォークシンガーである大塚まさじを
主演に迎えて描く家族ドラマ。失踪(しっそう)した父親が
家族のためではなく世話になった女性のお骨を実家に届けるために帰還、
そんな中家族が向き合い、本音をぶつけ合うさまを映し出す。
監督は、『時をかける少女』『シグナル~月曜日のルカ~』などの谷口正晃。
伝統を残す京都のたたずまいに、家族だからこそもつれ合うしがらみなど、
いつの世も変わらぬ町や家族の様子に考えさせられる。
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題材として、珍しい様に思われるが、世の中にはこうした事が、
世間の目に触れられないでいて、いっぱいある事だと思う。
特別なことではなく、以外に身近にあリ得ることだと。
しかし、京都という風習の中では、表には出されない特殊な感覚があるのだろう。
演出上で、最後に嵐電の駅への引き込み線の交差する所を2度にわたり映しだされていたが、
厳しく意見を出すなら説明的ではなかったか?踏み切りのところの「行き違い駅」の、
札も気になってしまった。
しかし、近頃の日本映画は、もう充分に知り尽くした俳優の起用が多くなり、
想像力が薄れてしまう。どんな映画でも演技が同じになって見えてしまう。
この映画では、無名に近い役者さんたちに新鮮さを感じると共に、
中身がリアルに捉えられ良かった。こうした手造り感のある丁寧な映画に
もっと出会いたい。
お母ちゃんの台詞で「分らない事やから・・・」というのがある。
人は、身近にいる肉親であれ、自分も含めて「分からない事・・」と実感した映画だった。
知らずにいたのだが最後に出演者と、少しロビーで話が出来て、良き日だった。